自分が幼少期から育った家であることも多い、現在自分の親が持っている家。
住み慣れた家で、できればそこで最期を迎えたいと願っている親も少なくありません。
しかし自分には既に別の生活があり、親が死んでしまった後には売ってしまう事は決まっている。
それであれば親が生きているうちに早めに売ってしまった方がいいのでは…
と、考える方も多いと思います。
しかし実際、生前に譲渡しておいたほうが本当に良いのでしょうか。
所得税と相続税、ふたつの税それぞれのに特例が設けられていますので、
別々に見ていきましょう。
まずは所得税。
現在、居住用不動産を譲渡した場合に有利な所得税の特例は以下の2つ。
・居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例
自らが居住している家屋とその敷地を譲渡した場合に、
譲渡所得の計算上3000万円を控除して計算する
・居住用財産の軽減税率の特例
10年以上所有していた居住用不動産を譲渡した場合、
非居住用の通常の税率(所得税15.315%+住民税5%=20.315%。5年超の場合)ではなく、
6000万円までの部分については軽減税率(所得税10.21%+住民税4%=14.21%)が適用される
というもの。
どちらも居住期間の制限はなく、居住していた本人が譲渡した場合のみ認められています。
次に、相続税。
相続税の居住用の特例は以下のひとつ。
・被相続人の自宅の敷地や貸宅地を一定の親族が相続した場合、
相続税評価額を最大80%減額できる
というもの。
これは最大80%も減額できるという、とても有効な節税手段。
ここは税理士の腕の見せ所といっても過言ではありません。
ダブルで適用できるケース、どちらか一方だけ適用できるケース、
様々な事例があり、どれか一番有利なのか判断することになるのですが、
相続物件は古くから引き継いでいるものが多いため取得費が不明なものが多く、
様々なハードルがあります。
厳密なシミュレーションは税理士に依頼しない限り難しく、
どちらが有利!というのは一概には言えないのが現状です。
厳密にシミュレーションした結果の金額で決めることももちろん大切ですが、
そこまで大きな金額の差がない場合は、どのような選択をすることが家族にとって
一番幸せなのか、ということをよく話し合うことが大切なのかもしれませんね。
(via nikkei style)