2015.6.30 やさしい税の話~相続税の計算方法~

1.税金のかからない範囲

<改正前>
基礎控除額・・・5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
<改正後>
基礎控除額・・・3,000万円+600万円×法定相続人の数
例:法定相続人が妻と子供2人の場合の基礎控除額(亡くなった年の税法によります)
改正前→8,000万円、 改正後→4,800万円 となります。
●死亡した方の財産から借入金等の負債と葬式費用を引いた金額が基礎控除額以下の場合には相続税はかかりません
●生命保険金や死亡退職金の非課税限度額・・・それぞれ500万円×法定相続人の数

2.税額計算の仕方

1. 正味の遺産額

土地・建物や預金等の財産から借入金や未払金等の債務を引いたものが正味の遺産額になります。(生命保険金や死亡退職金はそれぞれ非課税限度額を超えた分が加算されます)

例を挙げると
現金・預金・株式 3,300万円
土地・建物(特例適用後)
(居住用宅地・事業用宅地などには特例が適用されますが特例についても一部改正がされています) 8,000万円
生命保険金(入金額6,000万円ー500万円×3) 4,500万円
総遺産額 1億5,800万円
借入金 △ 700万円
葬儀費用 △ 300万円
正味の遺産額 1億4,800万円

2. 課税遺産総額

正味の遺産額から基礎控除額を引いたものが課税遺産総額になります。

<改正前>
 1億4,800万円-8,000万円=6,800万円
<改正後>
 1億4,800万円-4,800万円=1億円
基礎控除額
 改正前→5,000万円+1,000万円×3(法定相続人の数)
 改正後→3,000万円+600万円×3(法定相続人の数)

3. 法定相続分で按分(一旦、法定相続分で分割したものと仮定して相続税の総額を計算します)

ここでは便宜的に課税遺産総額が1億円の場合で計算しています。

妻 1億円 × 1/2 = 5,000万円
長女 1億円 × 1/4 = 2,500万円
長男 1億円 × 1/4 = 2,500万円
法定相続分 妻 法定相続分 長女 法定相続分 長男

4. 相続税の総額の計算(速算表で相続税額を計算します)

妻 5,000万円 × 20%(税率) - 200万円(控除額) = 800万円
長女 2,500万円 × 15%(税率) - 50万円(控除額) = 325万円
長男 2,500万円 × 15%(税率) - 50万円(控除額) = 325万円

相続税の総額

■ 相続税の速算表
  改正前 改正後
課税価格 税率 控除額 税率 控除額
1,000万円以下 10% 10%
3,000万円以下 15% 50万円 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,700万円 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

3.例題

1. 法定相続による場合(相続税の総額が1,450万円の場合)

実際の分割も法定相続分で分割した場合の計算
妻 1,450万円 × 1/2 = 725万円
長女 1,450万円 × 1/4 = 362万5,000円
長男 1,450万円 × 1/4 = 362万5,000円
各人の相続税 妻各人の相続税 長女各人の相続税 長男
配偶者の税額軽減 △725万円
配偶者は法定相続分に対する税額控除があります。(配偶者の取得した遺産額が1億6,000万円に満たない場合には1億6,000万円)
納める税額 妻 納める税額 長女 納める税額 長男

2. 実際の相続割合が異なる場合(相続税の総額が1,450万円の場合)

実際の相続割合が妻50%、長女20%、長男30%だった場合
相続税の総額は1,450万円と変わりません。
各人の相続税額
妻 1,450万円 × 50% = 725万円
長女 1,450万円 × 20% = 290万円
長男 1,450万円 × 30% = 435万円

(via 東京税理士会 相続税の計算方法)

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